下顎総義歯吸着テクニックを身につけて難症例に対応しよう!

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下顎総義歯を吸着させるテクニックは、歯科技工において徐々に定着しつつあります。

そのおかげで、歯科技工士の義歯治療技術や患者の治療満足度は向上しています。下顎総義歯吸着テクニックが広まることによる恩恵は、計り知れません。

しかし、下顎総義歯吸着テクニックを一通り身につけたら終わり、というわけではありません。

世の中には、フラビーガムなどの難症例を抱えた患者もいます。実際の治療の場面においては、難症例を抱えた患者にも対応できる必要があります。

歯科技工師、または歯科技工を勉強している身としては、あらゆる症例に対応できる技術を身につけられたら嬉しいですよね?

 

「下顎総義歯吸着について、より深く学びたい!」

 

そう思っている方におすすめな専門書が「下顎総義歯吸着テクニック ザ・プロフェッショナル-Class I/II/IIIの臨床と技工、そしてエステティック-」です。

 

今回は下顎総義歯吸着について、より深く学びたい方のために「下顎総義歯吸着テクニック」を紹介します。

 

■下顎総義歯吸着の応用編

「下顎総義歯吸着テクニック」は、いわば下顎総義歯吸着の応用編です。

この本には、難症例における下顎総義歯吸着テクニックについて書かれています。

ClassI/II/IIIのそれぞれの場合での、下顎総義歯吸着の方法が詳細に解説されています。

したがって、下顎総義歯吸着の基礎を押さえた人が、難症例に対応できる技術を身につけるにはうってつけの本です。

監修・著者の阿部二郎氏は前著「4-STEPで完成 下顎吸着義歯とBPSパーフェクトマニュアル」にて、下顎吸着義歯の基本を解説した書を発刊しました。

もし、下顎総義歯吸着の基礎を学んだ上で応用を学びたいのであれば「4-STEP」→「下顎総義歯吸着テクニック」の流れで読むのがおすすめです。

 

基礎知識もおさらいできる

しかし「下顎総義歯吸着テクニック」から読み始めても、問題ありません。

本書の序盤では下顎総義歯吸着の基礎的な事柄について述べられています。

本書の序盤の構成は以下の通りです。

■Part1 序論

■Part2 すべては、簡単な口腔診査から始まる

■Part3 総義歯治療成功の鉄則

 

序論で吸着型義歯について学ぶ

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Part1の序論では、従来型の義歯と吸着型義歯の違いが述べられています。

従来型義歯と吸着型義歯とでは、

・下顎義歯製作コンセプト

・ターゲット

・ゴール

・概形印象

・精密印象

 が大きく異なります。

 

歯科技工に携わる方であれば、従来型義歯については詳しく知っているでしょう。

 

 口腔診査の方法を学ぶ

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Part2では口腔診査の方法について述べられています。

下顎吸着義歯は、簡単な口腔診査から始まるのです。

Part2では、

・下顎総義歯の診査項目

・吸着を阻害する因子

 について、図表や写真を用いながら解説されているので、分かりやすいです。

 

総義歯治療成功のポイントを押さえる

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Part3では、総義歯治療を成功させるためのポイントが述べられています。

総義歯治療を成功させるには、

・上顎総義歯の落下の防止

・下顎総義歯を顎堤に吸着

の2点を達成することが必要です。

 

そして、この2点を達成するためにはどうすればいいかが、簡潔に書かれています。

 

難症例に対応できるテクニックを身につける

本書のPart4以降の構成は

■Part4 臨床実践1 簡単症例・ClassIで良好な顎堤と安定した下顎位を持つ症例

■Part5 臨床実践2 上下顎難症例・ClassII-division2で上顎フラビーガム&高度の下顎顎堤吸収をもつ症例

■Part6 ClassII-division1の義歯製作方法

■Part7 顎機能障害をともなったClassIIIの義歯製作方法

となっており、難症例について具体的に述べられています。

簡単な症例で無理なくテクニックを学習

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Part4では、簡単症例での下顎総義歯吸着について述べられています。

「いきなり難症例について学習するのは大変かも…」

と不安に感じている方でも、簡単症例から学んでいけば、無理なく学習できるでしょう。

 

入念に難症例でのテクニックを学習

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Part5では、過蓋咬合ClassII-2(2級2類)での総義歯製作方法について解説しています。

本書の約4割がPart5を占めており、難症例について具体的に学ぶことができます。

写真も豊富に使われているので、実際の総義歯製作場面を想像しやすいです。

Part4で基礎的なテクニックを学習した上で、Part5で理解を深めるようにしましょう。

 

ClassII-division1の義歯製作方法を学ぶ

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ClassII-division1(II級1類)も難しい症例です。特に、義歯製作が難しいです。

Part6では、

・ClassII-division1の問題点

・綺麗な義歯を製作するための方法やコツ

 が紹介されています。

 

ClassIIIでの義歯製作方法を学ぶ

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ClassIIIも総義歯製作においては難しい症例で、

・義歯の安定

・下顎義歯の吸着

・上顎義歯の落下防止

の3点を達成するのが非常に難しいです。

 

Part7では、

・個人トレーの製作

・精密印象の方法

・人工歯配列

・咬合調整

・デンチャーカラーリング

・リマウント調整

の方法について、詳細に書かれています。

 

ClassIIIは、義歯製作がとても難しいです。

Part7を読み込んで、難症例でも対応できる技術をマスターしましょう。

 

総義歯吸着テクニックをマスターしよう!

総義歯の製作をしていると、難症例の患者さんと出会うことも少なくありません。

しかし、そのような場合でも、歯科技工士には柔軟かつ高度なテクニックが求められます。

 

どんな患者さんでも総義歯製作を成功できるよう「下顎総義歯吸着テクニック」を読み込んで、総義歯製作の手法をマスターしましょう。

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